エピソード2
寒さが導いた店舗改修の経験
先日、「とにかく寒いので、なんとかしてほしい」という相談をある銀行から受けました。
現地へ向かってみると、その銀行は2階建て。
しかも、お客様窓口のフロアは大きな吹き抜けがある、とても開放的な空間。
さらに床から空調を吹き出すという、少し珍しい方式が採用されていました。
聞けば、お客様が入ってくるたびに冷たい外気が入り込んでしまい、窓口で働く銀行員さんは常に震えながら仕事をしている状況……。
これは早急になんとかしなくてはなりません。
さっそく調査を進めていくと、ある事実が判明しました。
そもそも空調の能力が足りていない。
必要能力に対して、現状はわずか60%ほど。
これではどれだけ頑張っても暖まらないはずです。
そこで、私は空調設備を増強する案を提案。
しかし、その費用は1,000万円超え。
すると……
「そんな予算はとても出せません…でも寒いのは本当に困っているんです。」
と、切実なお願いをされてしまいました。
正直、かなり悩みました。
費用はかけられない。でも改善は必要。
ジレンマとのにらめっこが続きます。
そこで逆転の発想に行き着きました。
「費用がかかるなら、かからない方法で解決しよう」
空調を増やせないなら、
今ある空調が効きやすい環境に変えればいい。
そこで提案したのがこちら
■ 寒さで困っている銀行員スペースの天井を下げ、部屋の体積を縮小
→ 暖まりやすい空間に変身!
■ 足元に空調吹出口を追加
→ 冷えやすい足元を直接温める!
■ 天井の段差を利用し、暖かい空気が自然と集まるアール天井を設ける
→ デザイン性と空調効率を両立!
しかも間接照明を組み合わせ、
空間の雰囲気までアップさせる工夫を施しました。
提案したところ…
「数百万円以内でできて、しかも寒くない!最高です!」
「前からやりたかったリニューアルも兼ねられるなんて!」
と、大喜びしていただけました。
職員さんが快適に仕事できて、
お客様にも心地よい空間に生まれ変わる。
そして予算も抑えられる。
三方よしのリニューアルが実現しました。
少しの工夫で、環境は驚くほど変わる。
そのことを改めて実感した出来事でした。