「いつかは海が見える場所に自邸を構えたい……」 そんな憧れを抱きながら続けてきた土地探し。しかし、ハザードマップの検討や予算、そして物件数という現実に直面し、私は一度立ち止まって条件を整理し直すことにしました。
ふと冷静になって自問自答してみます。 「私は、そこまでして毎日海を見たいのか?」
実を言うと、趣味の釣りの最中に嫌というほど海とは向き合っています。「日常に海が必要か?」と考えると、意外にも「そこまでではないかも」という答えに辿り着きました。
私が本当に求めていたのは「海」そのものではなく、「視線が遠くまで抜け、広がりを感じる癒やしの風景」だったのです。
そこで、新しい条件として「駅徒歩圏内であること(老後の安心)」を追加して「視界が抜ける開放感」を軸に、改めて物件を巡り始めました。
「運命の出会い」かと思いきや…?
そんな中、目に飛び込んできたのが今回の物件です。 住宅街の端に位置しており、目の前には最高の景色が広がっていました。「ここでコーヒーを飲みながらゆっくり過ごせたら……」と、想像が膨らむ素晴らしいロケーションです。
しかし、プロの視点で冷静にチェックしていくと、いくつかの「難敵」が姿を現しました。
- アクセスの壁:駅からはほど遠い。
- 駐車スペースの制限:敷地内に大きな擁壁(ようへき)があり、車が1台しか停められない。バイクを置くスペースすら確保が難しい。
- 高額な付帯工事:満足な駐車台数を確保するには、擁壁の造り替えという大規模な工事が必要。
建築士としての経験上、こうした「目に見えないコスト」は家づくりの予算を大きく圧迫する要因になります。
決定打は、自分ではどうにもできない「目の前のたんこぶ」
そして、最後の一押しとなったのが「視界」の問題でした。 一見、最高の眺望に見えますが、

写真の通り目の前の木々がうっそうと茂っています。
これが自分の敷地内であれば剪定もできますが、残念ながら敷地外の樹木。 「景色を遮るから」といって勝手に刈り取るわけにはいきません。まさに「目の前のたんこぶ」状態です。
四季を通じてどう変化するのか、将来的にさらに巨大化するのではないか……。自分たちの努力ではコントロールできない不安要素を抱えるのはリスクが高いと判断しました。
今回の教訓:土地探しは「引き算」と「客観視」
結果、この土地は見送ることに決めました。
土地探しは、理想を積み上げる「足し算」だけでなく、現実的なコストやリスクを削ぎ落としていく「引き算」の作業が不可欠です。
「景色がいいから」という直感は大切ですが、その景色が「将来にわたって保証されるものか?」そして「その代償(工事費や不便さ)を払う価値があるか?」。
自邸の土地探しという迷宮はまだまだ続きそうですが、この試行錯誤こそが、納得のいく家づくりへの近道だと信じています。
といった感じでダメな要素が出てきます。
とどめだったのは写真の通り、目の前の木がうっそうとしており、
それが目の前の視界を遮っているが、敷地外のために刈りたくても刈れない。
目の前のたんこぶ状態。
この土地はあきらめることにしました。





